コミュニティ臨床への招待

つながりの中での心理臨床

コミュニティ臨床への招待
著者 下川 昭夫
ジャンル 心理学・認知科学・臨床 > 臨床
出版年月日 2012/05/22
ISBN 9784788512887
判型・ページ数 A5・332ページ
定価 本体3,400円+税
在庫 在庫あり

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支援を必要とする人は往々にして専門家の手の届かない,つながりのネットワークの外にいる。また各現場ではコミュニティに応じた専門家とのつながりが求められる。つながりを持つプロセスや,つながりを活かした支援の展開を豊富な事例とともに紹介。
まえがき

第1部 コミュニティ臨床の理論

第1章 コミュニティ臨床とは何か  ?

 1 コミュニティの中で途方に暮れる専門家

 2 コミュニティ臨床とは何か
●2-1 本書で取り上げるコミュニティとは
●2-2 コミュニティ臨床という考え方
●2-3 コミュニティ心理学の考え方とコミュニティ臨床
●2-4 コミュニティに関する従来の心理臨床の考え方とコミュニティ臨床
●2-5 ソーシャルワークの考え方とコミュニティ臨床

第2章 つながりとは何だろうか

 1 つながることの意義
●1-1 コミュニティ臨床という「地」の重要性
●1-2 専門的関わり以前にある、様々な関係性の下地としての「つながり」

 2 「つながり」とは何だろうか
●2-1 「つながり」と治療同盟
●2-2 つながりにくさとつながりの維持しにくさ―すれ違っていくやりとり
●2-3 すれ違いを修復する気持ちの持ち出し―相手を何かと気にかける、忖度すること

第3章 コミュニティ臨床の実践と変化する視点

 1 コミュニティ臨床の実践概要
●1-1 コミュニティ臨床の三つのプロセス
●1-2 人と「接点を持つ」ことと、そのための下地作り
●1-3 人と「つながりができる」ことと、それまでの右往左往
●1-4 つながりが作れない・壊れてしまう「すれ違っていくやりとり」
●1-5 人をつないでいくための下地作り
●1-6 人を支えるお手伝い―つながり作りのお手伝いと、つながりを使ったお手伝い

 2 コミュニティ臨床における実践の視点
●2-1 「専門的援助中心の臨床」から「つながりの中での臨床」へ
●2-2 どこまでのつながりの中で臨床を考えるか?
    ―「組織の中の臨床家」から「地域の中の臨床家」へ

第4章 つながりの下地作りの実践プロセス

 1 人とつながるための実践プロセス
●1-1 地域コミュニティと接点を持つための下地作り
●1-2 地域コミュニティのメンバーとつながるための右往左往
●1-3 地域の専門家とつながるための右往左往

 2 人をつないでいくための実践プロセス
●2-1 学級支援に学生をつないでいくための間接的な下地作り
●2-2 学級支援のための間接的な下地作り
●2-3 学級支援のための直接的な下地作り
    ―学生と担任をつないでいくことの難しさ
●2-4 地域と学校をつないでいくことの難しさ
●2-5 コーディネーターが機能するか、つながりのネットワークが広がるか

第5章 人を支えるお手伝いの実践プロセス

 1 コミュニティにつながりを作るお手伝い
●1-1 学生による学級支援の実際―子どもとつながり、担任とつながり、双方をつないでいく
●1-2 専門的援助を中心としたグループワークと、つながり作りを中心としたグループワーク
●1-3 グループワークとネットワークでつながり作りのお手伝いがどこまでできるか

 2 コミュニティのつながりを使って支援を組み立てるお手伝い
●2-1 小学校における学生による個別学習支援を通じた子どもとのつながり作り
●2-2 学校でケースを立ち上げ、関係機関と連携する試み
●2-3 コーディネーターを中心とし多くの関係者がケースを組み立てる試み
●2-4 つながりを使った支援を組み立てるのに必要なコーディネータの役割

 コラム:フォーマル・アプローチと共創アプローチ

 第2部 コミュニティ臨床の実践

第6章 心理臨床家によるコミュニティ臨床の実践事例

 1 《病院・医療》の実践現場から

 デイケアにおける心理教育プログラム実施を通した、スタッフとのつながり作り
 介護者とつながりにくい認知症高齢者の心理を読み解くことでつながりを作る試み
 認知症者の家族介護者が集うセルフヘルプ・グループにおけるつながりの様相 グループ内でのつながり、グループ外とのつながり
 がん患者会における世話人の役割と専門家の支援のあり方
 訪問看護における看護師―クライエント―家族間の困難なコミュニケーションをつなげる試み
 ■コミュニティ臨床の視点から

 2 《施設・福祉》の実践現場から

 児童養護施設におけるオープンルーム・アプローチ つながりにくい子どもたちをつなぐための心的援助
 虐待が生じた家族のつながりを支える 児童養護施設での取り組み 138
 子どもが育つ環境作りのために 児童養護施設における心理職の役割 144
 子どもとつながりを作る視点とは? 今を支えるつながり作り 小学生男児の事例を通して
 DVにより転居を繰り返す家庭への支援
 ■コミュニティ臨床の視点から

 3 《学校・教育》の実践現場から

 コーディネーターによる、児童と保護者と教師をつないでいくことを通じた特別支援教育
 生徒の行動化を通して学校にコミュニティが生まれていったプロセス
 校内資源が支援として機能しやすくなるための働きかけ
 グループワーク活動で戸惑う体験からみる学生相談活動
 学生相談の事例紹介 大学生とそれを取り巻くコミュニティとの協働
 ■コミュニティ臨床の視点から

 4 《地域》の実践現場から

 訪問援助で不登校・ひきこもりのクライエントとつながりを作るまでに必要なプロセス
 学童保育所での「つながり」を作る試み
 地域における心理臨床家のフリースペース運営
 ローカルな地域子育て支援活動実践 地域の中で親子を「抱える環境」作りをめざしてきたプロセス
 地域の中でのネットワーク作りのお手伝い
 ■コミュニティ臨床の視点から

 5 コミュニティ臨床の視点から―まとめ
●5-1 メンバーや当事者とつながる・メンバーや当事者をつないでいく
●5-2 つながりをもとに当事者を支えるグループを作る・グループに加わる
●5-3 グループからコミュニティを支えるネットワークを作る・ケースを組み立てる

 第3部 コミュニティ臨床の展開

第7章 コミュニティにおけるつながれなさとその支援

 1 はじめに

 2 研究および実践報告の概観―つながれなさとその支援について
●2-1 心理学における実践および研究の概観
●2-2 近接領域における実践および研究の概観
●2-3 学際的な実践および研究の展望

 3 質的研究法について
●3-1 解釈と反省
●3-2 現場の人々との関係性、および自己の位置づけ
●3-3 コミュニティにおける臨床実践と質的研究
●3-4 アクション・リサーチという手法、そして認識論

第8章 明らかになった課題―個人臨床が直面する限界の意味

 1 はじめに

 2 社会的ニーズによる臨床心理士への期待

 3 戸惑いへの直面

 4 構造としての戸惑い
●4-1 場所―どこで支援を行なうのか
●4-2 対象―クライエントは誰か
●4-3 役割―何が課されているのか
●4-4 方法―どうやってクライエントを理解するのか
●4-5 時 ―いつ支援するのか
●4-6 まとめ

 5 内部からみる構造
●5-1 個人臨床の中に私たちは「すでに」埋まっている
●5-2 戸惑いを超えて―実は新しい脈絡の中にも私たちは嵌まり込んでいる

 6 漂ゆたえども沈まず―模索なくして実践の進展はない

第9章 コミュニティ臨床の理論2―ローカルな観点から

 1 臨床心理学の第3の道とローカルな観点
●1-1 臨床心理学の第3の道
●1-2 ローカルな観点とは
●1-3 コミュニティ臨床とローカルな観点
●1-4 ローカルな臨床心理学におけるコミュニティ臨床の魅力
●1-5 ここまでのまとめにかえて―自分の臨床心理学の作り方

 2 コミュニティ臨床から学ぶローカルな実践の「発想」
●2-1 実践の中で発想するための「態度や思考」への関心
●2-2 シンデレラ・モデル―実践過程の非漸進性
●2-3 実践の不連続性と態度の非一貫性
●2-4 アクシデントを受け入れ、期待する態度
●2-5 メトニミー思考―未知の森を歩くように
●2-6 ローカルな実践の中からの気づきとアイデンティティの問題
●2-7 コミュニティ臨床の技法

 3 コミュニティ臨床と実践者としてのアイデンティティ―なっていく過程
●3-1 なっていく過程として実践を捉えてみる
●3-2 実践者のアイデンティティの生成過程
●3-3 臨床心理士として自立すること

 4 おわりに―実践の森の歩き方

人名索引
事項索引
執筆者紹介

  装幀=銀山宏子

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