戦前の沖縄に生まれ,本土で十代を過ごし,アルゼンチンに渡ったひとりの男性の,生々しい体験の語り。そこに目を凝らし,耳を澄ます。個人の生きざまと近代のありさまを,同時に,一体のものとして立ち上がらせる,人と時代に迫る生活史研究の豊かな可能性。
語り─移動の近代を生きる――目次
序 章 近代と個人
第一章 沖縄、遥かなる記憶
第二章 宮崎の少年
第三章 転 生
第四章 父の遍歴
第五章 アルゼンチンに生きよ
第六章 燃焼する肉体と精神
第七章 家族とともに
第八章 日本、ふたたび
第九章 彷徨と継承
終 章 語りの外
あとがき 崎原朝一
謝 辞
註
装幀=難波園子